2010年 11月 27日
夜明け前の、ため息。 |
昔から「深夜のラブレターは送っちゃダメだ」という。
なんというか、夜は人をセンチメンタルにする。
いまつきあっている恋人宛ならば笑って許してくれるかもしれないが、これから口説こうとしている相手だったら、過剰な思い入れのせいでドン引きされてしまうかもしれないよ。
ブログも同じで、夜明け前に書かれる文章は、切ないため息のようで、センチメンタルだ。
セックスワーカー……と言っても僕が時々読んでいるものは、ゲイの売り専男子が書いている。いまでは仕事の一環で書かされている子もいるけれど、以前は仕事のあと、やりきれない思いを空へ逃がすように、透明感のあふれる文章を書き綴る人が結構いた。
彼らはお金を媒介にして、一晩に何人もの同性のお客とSEXする。続かない人は3ヶ月くらいでブログの更新が止まり、そして売りの世界からも足を洗う。一方で長く続く人もいる。そうなってくると、当初のセックスへの戸惑いから変化して、心の動きみたいなものが綴られるようになり、がぜん面白くなってくる。ちょっと考えてみれば当然のことで、最初は若さ、新人というだけで売れるのかもしれないけれど、長期間売れ続けている人は、テクニックがものすごく上達するようだし、身体よりも心重視になってリピーターがつくらしい。綴られる文章が身体の話題から心の話題へとシフトするのだ。彼らは口を揃えて「お金のつきあいだけど、でも一緒にいる間は疑似恋愛しているよ」と言う。どっかで聞いたことのあるセリフだけど、やっぱりそれが真理なんだな。
その子の在籍している店はホテルへの出張もあるが、マンションの1室を使った個室もあるらしい。個室の場合、売り専の子はお客が帰ったあとに部屋の掃除をするんだとか。お客の都合で、仕事が早く終わる日がある。お客を送り出したあと、彼はしばらく一人になる。夜明け前。情事のあとの熱気が残ったベッドにあぐらをかいて、彼はブログに文章を送る。「いまお客さんを見送ったあと。疲れたよ」と。
売り専ボーイって、非常に特殊な状況に身を置いている人たちだと思う。売れっ子ともなると、仕事として、一晩に5人、6人とSexする。よく考えたら異常事態、極限状態。若くなきゃできない。容姿が美しくなきゃできない。身体がきれいじゃなきゃできない。テクニックがなければできない。お客さんの気持ちが読めなきゃできない。疑似恋愛できなきゃできない。一晩で何人もの男を受け入れることのできる丈夫な身体がなきゃできない。etc etc。
しかも気持ちが不安定になっている人も多い。だって、お客は気まぐれで、人気はあまりにも頼りなく、セックスに愛を感じられない身体になり、しかも花の命は短いのだから。そんな世界で生きている人たちが、フッとはき出すため息は、愁いを含んだ複雑な色彩を帯びる。
女性作家の手によるゲイ小説、売り専レポート、ボーイズラブ作品が数多あるというのに、そのブログが紡ぐ文章に優ったものはなかなかない。僕もその文章に触れたくて、彼のブログに通っている。
なんというか、夜は人をセンチメンタルにする。
いまつきあっている恋人宛ならば笑って許してくれるかもしれないが、これから口説こうとしている相手だったら、過剰な思い入れのせいでドン引きされてしまうかもしれないよ。
ブログも同じで、夜明け前に書かれる文章は、切ないため息のようで、センチメンタルだ。
セックスワーカー……と言っても僕が時々読んでいるものは、ゲイの売り専男子が書いている。いまでは仕事の一環で書かされている子もいるけれど、以前は仕事のあと、やりきれない思いを空へ逃がすように、透明感のあふれる文章を書き綴る人が結構いた。
彼らはお金を媒介にして、一晩に何人もの同性のお客とSEXする。続かない人は3ヶ月くらいでブログの更新が止まり、そして売りの世界からも足を洗う。一方で長く続く人もいる。そうなってくると、当初のセックスへの戸惑いから変化して、心の動きみたいなものが綴られるようになり、がぜん面白くなってくる。ちょっと考えてみれば当然のことで、最初は若さ、新人というだけで売れるのかもしれないけれど、長期間売れ続けている人は、テクニックがものすごく上達するようだし、身体よりも心重視になってリピーターがつくらしい。綴られる文章が身体の話題から心の話題へとシフトするのだ。彼らは口を揃えて「お金のつきあいだけど、でも一緒にいる間は疑似恋愛しているよ」と言う。どっかで聞いたことのあるセリフだけど、やっぱりそれが真理なんだな。
その子の在籍している店はホテルへの出張もあるが、マンションの1室を使った個室もあるらしい。個室の場合、売り専の子はお客が帰ったあとに部屋の掃除をするんだとか。お客の都合で、仕事が早く終わる日がある。お客を送り出したあと、彼はしばらく一人になる。夜明け前。情事のあとの熱気が残ったベッドにあぐらをかいて、彼はブログに文章を送る。「いまお客さんを見送ったあと。疲れたよ」と。
売り専ボーイって、非常に特殊な状況に身を置いている人たちだと思う。売れっ子ともなると、仕事として、一晩に5人、6人とSexする。よく考えたら異常事態、極限状態。若くなきゃできない。容姿が美しくなきゃできない。身体がきれいじゃなきゃできない。テクニックがなければできない。お客さんの気持ちが読めなきゃできない。疑似恋愛できなきゃできない。一晩で何人もの男を受け入れることのできる丈夫な身体がなきゃできない。etc etc。
しかも気持ちが不安定になっている人も多い。だって、お客は気まぐれで、人気はあまりにも頼りなく、セックスに愛を感じられない身体になり、しかも花の命は短いのだから。そんな世界で生きている人たちが、フッとはき出すため息は、愁いを含んだ複雑な色彩を帯びる。
女性作家の手によるゲイ小説、売り専レポート、ボーイズラブ作品が数多あるというのに、そのブログが紡ぐ文章に優ったものはなかなかない。僕もその文章に触れたくて、彼のブログに通っている。
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by cool-october2007
| 2010-11-27 16:15
| the G word